燃やすことで生まれる美。炭とエポキシが刻む、唯一の一脚

スモークチェアは、モーイ|moooiとデザイナー・マーティン・バース|Maarten Baasが2002年に発表した、木製フレームを実際に燃やして仕上げるアームチェアです。
機能家具として販売される一方、ヴィクトリア&アルバート博物館をはじめ世界の主要美術館に永久所蔵される、プロダクトとアートのはざまに立つ唯一無二の一脚です。
<目次>
1.スモークチェアとは。製品概要
2.製造プロセス。炎とエポキシ樹脂
3.誕生の背景。卒業制作から世界へ
4.製品スペック・仕様
5.コーディネート提案とおすすめの使い方
まとめ
1.スモークチェアとは。製品概要

スモークチェアは、オランダのデザインブランド・モーイが展開するスモークシリーズのアームチェアです。
・ブランド: モーイ|moooi
・デザイナー: マーティン・バース|Maarten Baas
・デザイン年: 2002年(卒業制作)
・製品化: 2003年(ミラノサローネにてデビュー)
・製造国: オランダ
最大の特徴は「実際に木製フレームを燃やして仕上げる」という独自の製法です。
燃焼後にクリアなエポキシ樹脂でコーティングすることで、焦げた木の美しさを保ちながら、日常使用に耐える強度と機能性を回復させています。
一脚ずつ燃え方が異なるため、同一の製品は存在しません。
2.製造プロセス。炎とエポキシ樹脂
スモークチェアの製造は、以下のプロセスで行われます。
ステップ1|燃焼
木製フレームのアームチェアを実際に燃やします。
炎の当て方・強さ・素材の状態により、炭化のパターンは毎回異なります。
欠け、炭化の濃淡、焼けムラはすべて一脚の固有の表情となります。
ステップ2|エポキシ樹脂コーティング
完全に冷却後、クリアなエポキシ樹脂でコーティングします。
エポキシ樹脂は強度が高く長持ちする素材で、燃えた木材を封じ込めながら美しい光沢を付与します。
ステップ3|レザー張り
防炎フォームを使用したうえで、ブラックレザー(牛革)で張り上げます。
炭の質感とレザーのつやが組み合わさり、独自の高級感が生まれます。
この製造工程により、スモークチェアは「量産品」ではなく「一点物」として完成します。
3.誕生の背景。卒業制作から世界へ
スモークチェアの原点は、マーティン・バースが2002年にアイントホーフェン・デザインアカデミーの卒業制作として発表した「スモーク」シリーズです。
バースは「美しさとは何か」という問いを出発点に、アンティーク家具をバーナーで燃やし、炭化した状態をエポキシ樹脂で固定するという手法を開発しました。
自然は変化の中に美を生み出し、人間は変化を止めることで美を保とうとします。
スモークはその二つの美学的立場を、一脚に凝縮した作品です。
2003年、モーイがこのシリーズを製品として採用し、ミラノサローネで発表しました。
2004年にはニューヨークのMossギャラリーで個展「Where There's Smoke」を開催しています。
リートフェルト、ガウディ、イームズら20世紀のデザインクラシック約50点を燃やした作品群を展示し、スモークはプロダクトとアートの両領域にまたがる作品として確固たる評価を得ました。
現在もスモークシリーズは、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)など世界の主要美術館に永久所蔵されています。
4.製品スペック・仕様
| 項目 | 詳細 |
| 製品名 | スモークチェア|Smoke Chair(Smoke Armchair)
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| ブランド | モーイ|moooi
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| デザイナー | マーティン・バース|Maarten Baas
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| サイズ | W72 / D72 / H105 / SH38 cm
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| 重量 | 18.5 kg(梱包重量:20 kg)
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| 素材 | 焼いた木材(バーントウッド)+クリアエポキシ樹脂 / 防炎フォーム / レザー(牛革)
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| カラー | ブラック
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| 製造国 | オランダ
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| 備考 | 一点一点燃え方が異なるため、仕上がりは各1脚ごとに異なります
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5.コーディネート提案とおすすめの使い方
スモークチェアは、空間の格を引き上げる存在感を持つ一脚です。
以下のスタイリングが特に相性に優れています。
【1】ニュートラル空間のアクセント

ホワイト・グレー・クリームのミニマルな空間に一脚配置します。
スモークチェアが空間の主役となり、アートギャラリーのような余白と緊張感が生まれます。
【2】アンティーク&コンテンポラリーミックス

大理石や真鍮素材のサイドテーブルと組み合わせると、クラシックとモダンが交差する上質な空間になります。
ホテルラウンジや邸宅のリビング・書斎に最適です。
【3】スモークシリーズでの統一演出

同ブランドのスモークシャンデリア(φ65 / H55 cm)やスモークダイニングチェアと合わせることで、シリーズとして統一感のある空間演出が可能です。
まとめ

スモークチェア(モーイ|moooi)は、マーティン・バースが2002年に発表した卒業制作を原点とする、世界的に評価されたアームチェアです。
木製フレームを実際に燃焼させ、クリアなエポキシ樹脂でコーティングする独自の製法により、一脚ずつ表情が異なる一点物として製造されます。
素材は焼いた木材・エポキシ樹脂・防炎フォーム・ブラックレザー(牛革)の組み合わせです。
機能家具として使用可能でありながら、世界の主要美術館が永久コレクションとして所蔵する、プロダクトとアートのはざまに立つ稀有なプロダクトです。
「美しさとは何か」という普遍的な問いを携えたこの一脚は、空間に置かれることで、静かに、しかし確かにその問いを語り続けます。
所蔵美術館・博物館
スモークシリーズは以下の美術館・博物館の永久コレクションとして所蔵されています。
・ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン、イギリス)
・グローニンゲン博物館(オランダ)
・モントリオール美術館(カナダ)
・メトロポリタン美術館(ニューヨーク、アメリカ)
デザイナープロフィール
マーティン・バース|Maarten Baas
1978年、ドイツ生まれ、オランダ育ち。
2002年、アイントホーフェン・デザインアカデミー卒業。
卒業制作「スモーク」シリーズがモーイに採用され、2003年のミラノサローネでデビューを果たします。
以降、クレイシリーズ(2006年)、リアルタイムシリーズ(2009年)など、デザインとアートの境界を探求する作品を発表し続けています。
ルイ・ヴィトン、エルメスなどのブランドとのコラボレーションも手がけており、現在もオランダを拠点に活動中です。
モーイの公式サイトでは「21世紀初頭を代表するデザイナーアーティスト」と紹介されています。